丸日記

丸海てらむの日記です

進撃の巨人 最終話 感想

丸海てらむです。

 

マガポケで進撃の巨人の最終回を読みました。

 

 

当然のように最終話のネタバレを含むのでまだ読んでいない人はご注意を。

 

 

11年に渡る物語が完結した。感想を書くんだけど、…………。

 

 最大の謎がまだあんまりよくわかっていないので、これから整理して考える。

 

 

 

 

ミカサの能力、ループ説など

「(始祖ユミルは)二千年間ずっと、愛の苦しみから解放してくれる誰かを求め続け……、ついに現れた。それがミカサだ」

「何で……ミカサなの?」

「そりゃあ……始祖ユミルにしかわからねえよ……」

「オレが確実にわかっていたことは、ミカサの選択がもたらす結果、すべて……その結果に行きつくためだけに、オレは……進み続けた」

 

これだ。何なんだ。一体。

 

ミカサが始祖ユミルの力を通じてエレンやみんなに影響を与えていたってことか?

 

「あの日……あの時……ベルトルトはまだ、死ぬべきじゃなかった」「だから……見逃して……、……に、向かわせたのは…………」

このセリフ途切れ途切れだが、絵から察するに、ライナーとベルトルトとアニが島に来て壁を破壊した日、動けないでいるベルトルトのそばにダイナ巨人体が現れて、ベルトルトは食われるかと思ったけど何故か無視して壁内に入っていった、そしてエレンの母親を食った、っていう一連の話だ。

この時、ミカサが始祖ユミルを通じてダイナを導いて、ベルトルトを無視させてエレンの母親を食わせた、ってことなんだろうか。

 

最後みんなから巨人の力がなくなったのも、ミカサがそう望んだから、と書いてある。どういうことだ。始祖ユミルはユミルの民の体の構造を書き換えられるらしいのでまあできそうだけど、ミカサがそう選択して始祖ユミルにそうさせたってことなんだろうか。

ミカサと始祖ユミルが接触するシーンは特に見た覚えがない。あと「いってらっしゃいエレン」が138話と1話で繋がっている理由もよくわかっていない。何もわからない……。

 

ミカサの能力について、前回までは「並行世界の自分の記憶が得られる」ってことかと思ってた。ただ今回のエレンの話を聞くとそれよりもっと強い能力な気がする。

なんでミカサがこんな能力を得てるんだ。「そりゃあ……始祖ユミルにしかわからねぇよ……」わからないらしい。

始祖ユミルの心情を考えてみる。カール・フリッツのことを思い続けて、ついぞ一度も愛されないまま死んでしまう。死後も彼の望み通りに巨人の力を発揮し続けるが、それは苦しくもあった。ミカサがエレンの首を刎ねて口づけするシーンで始祖ユミルは笑っていたが、いま閃いた、ミカサがエレンと自ら決別するのを見て、自分も同じようにフリッツ王への未練を断ち切れるんじゃないかって。ミカサが自ら愛する人を葬って別れれを受け入れるのを見て、自分もフリッツ王を忘れることができる、みたいな。そのためにミカサが選ばれた。みたいな。なんでミカサなのかはわからない。

 

物語で「なんで主人公はずっと勝つんだ、不自然だろ」って指摘があるが、それにこういう反論がある、「どの時代にも一人くらい不思議なくらい勝ったり世界を旅したりする英雄がいる、それを選んで主人公にしているのだ」と。たまたまミカサが選ばれたんじゃない、始祖ユミルが選んだ人だからミカサが主人公になったのでは。そしてエレンはミカサが愛した人だからこの漫画の主人公として描かれている。みたいな。これは始祖ユミルがカール・フリッツへの未練を振り切るための物語で、そのために「進撃の巨人」継承者の男性とそれを愛する女性の組を選んだ、だからこの二人がこの漫画の主人公になった。みたいな。二千年かかったのは始祖ユミルがフリッツ王への未練を振り切るために必要な時間で、気持ちの整理がつけば後は最後のきっかけはミカサとエレンでなくても誰でもよかったのかもしれない。巨人の力を失ったのも、ミカサがみんなを救うため以上に、始祖ユミルが巨人の力から解放されるため、っていう意味合いが大きい気がする。エレンもミカサも、この物語は始祖ユミルのためにあったのだ。そう思うとけっこうすっきりする。第一話からして「二千年後の君へ」、始祖ユミルの言葉なのだ。

 

ミカサの能力は、どうも「エレンが死んだら時間を巻き戻す」「たまに夢としてループ前の記憶を思い出す」っていうのが近い気がする。1話でエレンが138話の夢を見ていたのは、ループ直前の意識が消える過程が描かれているんではなかろうか。

ミカサの願いが叶っているのも、現実を受け入れられないときはループが起きているからとかだろうか?

 

始祖ユミルがミカサを選んだ、と書いてある。でミカサは自分がそんな能力を持ってるとは気づいていないらしい。何せ頭痛の理由がアッカーマンの護衛本能云々、という嘘を言われて信じてショックを受けているくらいである。でミカサは世界を思い通りに選択することができる。それを本人は知らない。知らないうちに自分の思い通りの世界になっているわけである。

 

そう考えるのが自然な気がしてきた。ミカサが現実を受け入れられないときに世界がループする。第一話でエレンが長い夢を見ていたのようなのは、138話からループしてくるときに記憶が消える瞬間だった。でも始祖ユミルにそこまでの力があるだろうか? 体の構造を書き換えるのはまだわかるけど、時間を巻き戻す、なんてできるんだろうか。わからない。ループさせるのは始祖じゃなくてミカサのほうの能力なんだろうか。わからない。何もわからねえ。

 

エレンのセリフ、「始祖の力がもたらす影響には過去も未来も無い……同時に存在する」って地味にヤバくないか。急に難しくなってきた。

 

 

エレンの真意

アルミンを殴ったりミカサに酷いこと言ったのは、自分を殺させて彼らを英雄に仕立て上げるため、わざとだったらしい。本当によかった。そういえば例のアルミンとの喧嘩シーンの後、ミカサとアルミンで「なんでエレンはあんなひどいことを言うの?」でアルミンが三人で海に行ったシーンを思い出して、「まさか……」って思うところがあった。あの時にちょっと気づいてたりしたんだろうか。

 

最終話冒頭のエレンとアルミンの会話、少年だったり大人だったり、壁内にいたり地ならし後の世界にいたりするのは、精神世界にいるからっぽい感じだ。時系列的にはこの会話は、エレンが地ならしを起こしている最中にやっていることらしい。で後の描写でわかるが、この精神世界での会話を同期のみんなにやっているらしい。アルミンとミカサ、ジャン、コニー、ライナー、アニ。ピークちゃんはなかったらしい。律儀な奴だ。

本当に救われたなあ。エレンいい人で良かったよ。

 

アルミンとの回想シーンで、ミカサをどう思ってるか聞かれて、一度は「わからねえ」って曖昧に返事するけど、その後殴られてから、かっこ悪いくらいにミカサに執着するエレンの姿が、実はこの最終話で一番泣いたかもしれない。かっこ悪いけどさ、正直に喋ったらこうなるんだよ。「幸せになってほしいんだ……本当に……でも……あぁ……やっぱ……クソ…………」この葛藤が。こんなに正直な主人公があるか。

マーレ編以来ずっとかっこつけてたエレンが、実はこんなに子供っぽくて、死にたくないしみんなと一緒にいたい、なんて思っていて、アルミンに殴られてももちろん殴り返さなくてしょげてて。ああ、俺の知ってるエレンなんだ、って。

 

アルミン・アルレルト

「……エレン、ありがとう」「僕たちのために……殺戮者になってくれて……」「この過ちは絶対無駄にしないと誓う」

アルミンは地ならしはやっぱり間違ってると思ってるんだ。エレンとはその点で意見が食い違っている。それでもエレンがそこまでして島を救ってくれたってことには感謝しているし、これを受け入れた上で前に進もうとしている。

「人類を救うのは……アルミン、お前だ」。

最初は、人類を巨人から救うために。それから壁外人類からパラディ島を救うために。今は違う、壁外人類も壁内人類もまとめて、人類を争いから救うのがアルミンなんだ。そして壁外人類代表としてパラディ島へ和平へ向かう。

装備を外してミュラー長官に歩み寄るシーン、二巻の再現だ。

 

世界のその後

時間は飛んで三年後。壁外人類は残った2割でたぶん復興しようとしているが、その描写はあんまりされていない。

エレンを倒したメンバーのアルミンたちは、エレンの望み通り「進撃の巨人を倒した英雄たち」として、壁外の連合国で生きているらしい。そして連合国の大使となってパラディ島に赴く。

 

壁内はイェーガー派が支配しているらしい。彼らはこの物語を知らないのだ。

彼らからすれば、ある日「三重の壁の外には別の人類がいました!彼らが僕らを殺そうとしています」と教えられ、ほんとに戦争が始まって一度勝ち、革命が起きて政権が入れ替わり、今度は攻めて来られ、突然エレンが頭の中に語り掛けてきて「オレが壁外人類を滅亡させる」って言って壁から巨人が出て世界を滅ぼし始めた、終わってみたらどうやら壁外人類はほとんど死んだらしいがエレンは殺されたんだって、という話だ。そりゃあエレンありがとうって気持ちになるし、報復が怖いのもわかる。

 

物語がここで終わるのは、たぶんこれがエレンとミカサと始祖ユミルの物語だからだ。この後和平が成立するのか、また戦争が起こるのか、起こったとしてどっちが勝つのか、わからない。それでもパラディ島の危機は去ったし、エレンの大事な人たちはだいたい生き残った。何より、「巨人をこの世から一匹残らず駆逐した」のだ。始祖ユミルもようやく解放された。

138話でライナーが「どうすれば俺たちは報われるんだ?」って言ってたが、一応地ならしは止まって、みんな巨人化も解けて、巨人化能力もなくなったのだ。これはもう救われていると言っていいのではなかろうか。

壁外で8割もの人類が死滅していることに関しては不思議と読者としては心を痛めない。知ってるキャラがあんまいないから別にいいやって感じなのだ。

リヴァイの傷の治りが微妙だがアッカーマンの力も失ったんだろうか。

 

最後のシーン、「……また、あなたに会いたい……」で鳥がミカサのマフラーを直してくれる。アルミンが島へ向かう船の中で、鳥の羽を手にする。138話でミカサとエレンの回想シーンのとこで、これ見よがしに鳥が飛んでいる、などやたらと鳥が出てくる。大事そうな気がするがどういう意味かよくわかっていない。最後の鳥はエレンの生まれ変わりなんだろうか? そんな深いものでもないかもしれない。自由の象徴だ。

 

 

 

最後に

 まだけっこうわからないところがあるが、理屈っぽく考えてもしょうがない。とにかくみんなが救われてよかった。始祖ユミルも成仏したらしい。ミカサもエレンの死を受け入れて、自分の手で葬った。エレンの考えていたこともわかったし、ひとまず島の危機は去ったのだ。

 

後日また考察を読んだり、公式から情報が何かないか待ったりするだろうけど、一旦今日はこれで満足だ。踏みつぶされた8割の人類は帰ってこないし、サシャもエルヴィンたちも帰ってこないが、それでもライナーたちは生きているし、エレンは最後にミカサやアルミンたちと話ができたのだ。みんな納得した。もう十分だよ。

 

結局進撃の巨人とは何だったのか。

いろんな側面がある。ホラーだったりアクションだったり、政治だったり勇気だったり。

でも個人的には、愛と自由の二つのテーマが一番大きかったなと思う。自分と家族と友人を大事にしよう、と一言で言ってみてもわからない、エレンや人たちの生きざまを見て、初めて実感を伴って受け入れられる。

 

いい話だった。